この二日間、よく泣いた。
第六十五代横綱 貴乃花光司 著 「生きざま 私と相撲、激闘四十年のすべて」を読んだ。 貴乃花親方は私が子供のころから「心のヒーロー」です。 ヒーローという言葉はクサいんだけど、「英雄」という言葉は違うし、「尊敬してる」以上で、でも「(その生きざまを)目標にしようだなんてそんなそんな常人には無理」で、でも色んな折に思い出す「手本」のようであり憧れの人なのです。 現役を引退して親方になられてからはテレビ等の露出も増え、積極的に話されるようになり、その独特の日本語使いで笑いのネタにもされますが(私もしてますが、物マネとかしますが)、そのブレないまさに「生きざま」は、私自身年をとるにつれそのスゴさをより深く理解できるようになり、もう心酔しきっているのです。 好きなアーティストや作家はたくさん居るけれど、ヒーローは何人も居ません。 その「生きざま」については、ここで要約することでもないので、私は私の思いだけ書きます。 私の実家では、本場所中は必ずテレビで相撲中継を観ていました。 物心ついたころから、チビなりに力士にも好き嫌いがあって、(まあ八割がた親の刷り込みでしょうが)千代の富士は必ず勝つし顔も身体も、いや上手投げがなんといってもカッコいいから大好き(後々の八百長記事を読んでショックを受ける)、コニタン(小錦)はでかすぎでズルい(その強さが下降線をたどりはじめてからは一転して応援)、大乃国(現・スイーツ親方こと芝田山親方)は負けまくっているのに何故横綱なの?、旭富士は横綱の割に存在感うすい、北勝海も好き、琴錦は強いけど「不倫してる」からビミョー、貴闘力は大好き(赤塚富士夫の漫画に居そう、顔が)、安芸の島は自分と名前が似てる(本名アキコなので)から好き、隆三杉(ドラえもん)は歌がうまいから好き、、、 などなど、まあこのくらいで…(調子にのってすんません)。 そんな時代に現れたのが若き貴花田(当時)でした。 最年少入幕、最年少優勝、、記録を次々と塗りかえ快進撃を続けるサラブレッドということで当時はブームだった。 私ももちろん好きでした。ただ単純に強くてカッコいいから。 それに、「一本スジの通った」かんじがするから。 たぶん11歳くらいの頃は、この人のお嫁さんになりたいなぁと妄想してたくらい…(あーはずかし。) 大阪場所を家族で観に行ったこともあるし(貴花田缶バッジとか買ってもらった)、地方巡業で和歌山に来てくれた時ももちろん観に行った。本場所と違う地方巡業では、力士をより間近で見られる。彼が四股を踏む姿は他のどの力士よりも美しかった。お肌も綺麗だった。ぺちぺち触らせてもらったか、(他の力士を触った憶えはあるんだが)怖れ多くて触れなかったかは、憶えていない。 貴花田が貴ノ花になり、貴乃花になり、全盛期を迎え、その後怪我がこんで休場が続くようになってからは、私自身中学生になって他に興味が移ったこともあり、殆ど相撲は観なくなった。 貴乃花が居ない大相撲はつまらないし、幼いころから応援していた力士たちは魁皇を除いて皆引退、そしてなに、次は朝青龍の時代?あの品性のカケラもないヒールが?もうどうでもいいやということで、その後は、今でも全く相撲は観てない。 数年前、職場が定期的に著名人を呼んで開催している講演会に、なんと貴乃花親方が女将さんと一緒に来てくれた。私はもちろん参加、かぶりつきの席で話を聴かせてもらった。 話の内容はご自身の角界入りからの過酷な日々のことから、今の、これからの相撲界のことなどを、支離滅裂と言えるほど断片的に、しかし雄弁に語ってくれた。 私の中で込上げるものがあったのは、そのお姿を見て。 胸囲、痩せてもでかい!リーチ、長い!手、これまたデカい! ものすごい存在感。その一方で、 現役時代、怪我をしながら闘い続けた結果、手術した右膝は完璧に回復していないようで、歩き方は所謂「片脚の不自由な」歩き方だし、若干背丈も縮んだようにさえ見える。利き手の右手はもう痺れて使い物にならないらしく、コップを持つのもメモを取るのもすべて左手を使われていた。 なんだか、正直、痛々しい、、のだけど、いや、痛々しいのではなく、感動した。 ここまで身体を壊してしまう前に、闘うことを諦めてしまうのが「普通」。 まさに「不惜身命」なのだなぁ、と、生き神様を拝んでいるような気になった。 …このような講演会も、おそらく部屋の運営資金調達のために各地で行っているのだろう。 サービス精神も豊かで、この時は質問コーナーもあったし写真も撮っていい、ってことだったんだけど、なんか怖れ多くて話しかけるなんてできなかった。。。そもそも今では私、相撲観てないし、質問することなんてないし。ツーショット写真も、撮ってもらいたい人の行列ができてたこともあって、同僚に「遠近法」ツーショット写真をこっそり撮ってもらってその日は懇親会にも参加せず、帰宅した。 …単なる私の思い出話ですよ、ああそうですよ。 でも、この「生きざま」という著書を買ったのも、私が最近「頑張らなっくっちゃー(ピンポンパン体操)」「でもどう頑張ればいいだろうか」「私が頑張ってどうするんだ、私なんかが頑張って何か価値があるのか?」と色々考えていて、例によって「貴乃花語録を参考にしよう」と思って検索してたところに見つけたから。 本の中に、「(貴乃花親方の)私の師匠が言っていたことは、愚痴を言っている暇があったら四股を踏め」というような言葉が何度もでてきた。 私にとってこの「四股」はなんだろう、と考えている。 私が意地になって水泳をやっていたとき、意地になってクラシックバレエをやっていたときは、毎日何をするべきか、何をすれば強く/速く/上手くなるのか自分なりに研究して、毎日必ずとはいえずとも実践していた。 音楽ばかりやっていたとき、20代前半までは、「歌を作り、宅録する」ことがメインで、人前で演奏する、パフォーマンスにまで進めていない状況だったので、もっぱら「創作」と「作業」の日々で、言い方を変えれば楽器も歌もちゃんと練習なんてしていなかったし、基礎練習の方法さえ知らなかった。 で、今だ。人前で演奏する、パフォーマンスへと駒を進める時期が(やっと)来たのだ。 愚痴を言っている暇があったら(ブログを書く暇は許してね)、四股を踏まなくちゃね。
by agatha2222
| 2013-02-09 21:18
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