わたしの「出身校」は、ビートルズです
「自分にとって大事過ぎるほどに大事な"ビートルズ"のカヴァーをそろそろ自分でやってもいいかもしれない」 わたしは2013年の初めより音楽活動を再開したのですが、 活動していなかった何年か分、ギターは弾いてなくとも、ちゃんと歳はとっていて経験もいろいろ積んでいて、 再びギターを抱いたときには自然とそう思えるようになっていました その頃、シディ・ラルビ・シェルカウイ(ベルギーのダンサー・コレオグラファー)に熱を上げていたわたしは、 ビートルズのメドレーで、タンツ・テアターのような舞台をやろうと思いつき、自分で歌いたい曲をぱぱっと選んでみたらば その時、いやその時と言わずに、きっと物心ついてからずっと考えてきたテーマが浮き彫りになって見えたのです まるでカードリーディングでカードを引くように、選んだ曲たちが繋がって それがわたし自身に寄り添う物語になりうると気づいた 「愛」ってなんだろう? 愛する、愛している、とはどういうことだろう? 日本人たるもの、子供の頃から、その言葉を日常生活の中で聞く事はなく (決して愛されていなかったというわけではない) 宗教教育とも馴染みのなかったわたしは、「神の・神への愛」というものを実感することもなく テレビドラマの台詞や、ハリウッド映画等の虚構の世界で使われる記号のような、自分にとってはとらえどころのない言葉でしかなかった 恋をして有頂天になっても、お互いにお互いが見たい幻影ばかり見ていて解り合うことなく終わったり 家族を失いそうになっても、結局じぶんという人間はじぶんを一番大事にするんだなと失望したり そんなふうに、期待したり失望したりすること自体が、「愛」をとりまく崇高なイメージとはかけ離れていると思っていた 5年ほど前のこと、「私達の本質は愛だ」と説く人に出会った そのことが少しずつ、ちゃんと解ってきたと思ったり、解っても実践しなかったり、やっぱり解らなかったり ・・・存在するものをただ認める、受け入れる、ネガティブな自分の感情をも切り捨てることなくただ認める、執着を手放す それらの行為が、今のわたしにとって「愛の実践」の意味するところとなりました 第一部の主人公は若い娘、恋をして、結ばれて、喧嘩をして…と、ありがちな展開を辿ります いくらありがち、であっても、彼女自身が辿らなければ、決してその次の問いと答えには出会えない そうして彼女は問うて、答えを出します 第二部では、その娘が年月を経て母親(ジュリア)になり、娘(プルーデンス)をもうけます ジュリアは自分もかつて「娘」であったのに、自分の娘に対して支配的な態度をとってしまう プルーデンスは母娘の葛藤を越えて、なんとか大人になろうともがく 黒服の男は母娘カプセルにとって「外の世界」の象徴であり、ときに「絶望」であり、「時間」であり、「音楽」になる 娘には娘の人生があり、母には母の思いと事情がある "Julia"も"Dear Prudence"も、ジョン・レノンが1968年のインド滞在中に作詞作曲したものです "Julia"は、ジョンが二度(一度目は5歳で両親が離婚したとき、二度目は17歳で母と良い関係を取り戻しつつあった矢先に交通事故に奪われたとき) 失った実母の名前、そんな母の名を、妻(ヨーコ)のイメージと重ね合わせて呼ぶ、切実なラブソングです 本当の、純粋な、「愛」とは、もともと自分と一体だった「母」の愛、無条件に照らしてくれる太陽の光のような存在なんだ、 (だから、条件付きで愛そう・愛されようとするな)という主人公とわたし自身の気づきを、「シアター・ビートリッシュ」では歌いたかったのです "Dear Prudence"は、当時ジョンや他のビートルズのメンバーと共にインドに滞在していた、女優ミア・ファローの妹のことで 瞑想にのめりこんで部屋から出てこなくなった彼女に呼びかける、そんな歌です 「シアター・ビートリッシュ」バージョンでは、母に囚われたプルーデンスに対して、「そこから脱出するんだ」と呼びかけます ...長々と語ってしまいましたが、本公演の主役はビートルズのメロディと言葉、歌たちです 歌のもついろんな側面を、いろんな表情を、遊び心を出演者の身体を通して楽しんでいただければ幸いです 2014/8/27 あがさ(主催者より)
by agatha2222
| 2014-08-27 13:10
| Project Beatlish
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