...so I was like, how can I not become like him?, when, actually, I'm a reincarnation of my mum and my dad.
(body:language#1 Sidi Larbi Cherkaoui) (...僕は母と父の生れ変わりなのに、父に似ないでいられるわけがない) 前回も言及したシディ・ラルビ・シェルカウイのインタビューの一節が、強く印象に残っている。 魂の再生、輪廻転生という意味でのreincarnation(リインカーネーション)ではなく、 「僕は両親のreincarnationである」という言葉の使い方が新鮮だったからかもしれない。 なるほど言われてみれば確かに、肉体はもちろん、性格でさえも、 両親を両親たらしめている何か、遺伝情報、それが再び肉体を授かった存在が私(達)であると、言えなくはない。 語源を考えると、reincarnation の動詞形reincarnateは、 re(再び)incarnate(肉体を与える)という意味であり、 さらに英語のincarnateのもとになったラテン語はincarne、carnには「肉」という意味がある。 両親が、あるいは目に見える形で言えば、母が「私」をincarnateした、とも言えるだろう。 ちなみにcarnation(カーネーション)という花の名前も、「肉(肌)色の花」という意味から来ているという説もある。 (日本やアメリカでは五月の「母の日」にカーネーションを贈る習慣があるが、このこととは無関係らしい) 親の居ない子、そのココロに(死の概念と同じくらい)昔から惹きつけられるものがあった。 私が14歳の頃、ビートルズのオリジナルアルバムを全て聴きつくしてしまったあと、 ジョン・レノンのファースト・ソロアルバム「Plastic Ono Band/ジョンの魂」を聴いた。 「母の喪失」について叫ぶような、ヒーリングプロセスのような内容に、痛くも心地よく泣いた。 あくまでシンパシーではなく、なぜ共感のようなものを自分が憶えるのか、わからなかった。 いや、そのことについては、自己分析すればいくらでも説明はつくだろうけど、 自分にはちゃんと両親が居るし、そんな気持ちを持っていることは恥ずかしくもあった。 ジョンの創作や活動について考えるとき、彼の人生を占める「母の喪失」抜きには考えられないと思う。 有名な曲「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」は、ジョンの幼少期の遊び場であった「ストロベリー・フィールズ孤児院」がタイトルに使われている。 自分の存在のあやふやさ、無気力、人生の持つ価値の希薄さについてこぼすような歌ではないだろうか。 大人になった「親の居ない子」が臨む景色のような。 私の亡き父の父母は、父が五歳の時に離婚し、母(私の祖母)は父を連れていくことを諦めたため、彼は従兄弟たちと祖母(私の曾祖母)に育てられた。 私が十八歳になった時、初めて「祖母」に父と二人で会いにいくことになったが、 父に「会いに行くか」と訊かれるまで、私は父の母について一度も考えたことが無かった。 それは「居ない」のが当たり前だったからだ。 それからなんとなく、「母親に置いていかれた可哀そうな子供の父」について、想像するようになった。 想像ではあっても、肉親の痛みは自分が受ける痛みそのものよりも、恐ろしく、感じる(かもしれない)。 とはいえ、父という人は短気で自分勝手であることを除けば、社会的にはまっとうで、強く明るい人間だったと思う。 でも、もしかしたら、本当はそんなに単純なものではないかもしれない。 今となっては解りようもなく、どうでもいいことかもしれないが、知りたいとも思う。 …これからも、そんなどうでもいいことかもしれないことについて深く思い続けるのかと考えると自分が嫌になるので、ケリをつけたく、作品のテーマにしてしまったものが「re(in)carnation」です。 私達のココロ、心理システム、世界を見る目はどのように形成され、 そして形成されてしまったものを、より幸せに生きるためにどのように修正しうるのか、 そのことに私は興味があります。 そんな重苦しい話をしてはいますが、 音楽的には「ビートルズで声の世界旅行」な今回の旅を、お楽しみいただければ幸いです。 2015年11月1日のご挨拶に代えて あがさ http://agatha2222.exblog.jp/23590916/ ![]()
by agatha2222
| 2015-10-30 22:47
| Project Beatlish
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