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セルフライナーノーツ「ラーフラ」

迫る11/15のソロワンマン「弦のかきみしる会 アローン」に向けて、なんやかや書いていこうと思います。何せ出演者は自分だけなので、自分のことしか書くことがないのですけど。

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今日は、会場の「古書カフェくしゃまんべ」でも販売して頂いております、拙アルバム「ラーフラ」のセルフライナーノーツをひとつ。(以前ここで書いた内容とも一部重複します。)

まずタイトルの「ラーフラ」ですが、これは釈迦の実子の名前で、パーリー語、サンスクリット語で障碍、足枷、または月蝕や日蝕という意味があるそうです。一国の王子であった釈迦が悟りを求めて出家を決めた頃に妻の懐妊を知り、出家の妨げになるその子には「ラーフラ」とでも名付ければよい!、と言い放ったとか。ラーフラの名付けについては諸説あるそうですが、私は小学五年生あの頃に手塚治虫の漫画「ブッダ」でこのシーンを読んで、なんだかとてもショックを受けて、「ラーフラ」という音が何か触れてはならない恐ろしいものとして記憶されたようです。で、このラーフラ、父親に拒絶されたからかどうかは知らないけれど、母のお腹の中に六年間居座り、父親(釈迦)が悟りを開いたその日にやっと産まれたという。そんなエピソードが、過去に作った曲達を少しでもアルバムにまとめて出したいと願いながら、なかなか製品として出すまでに至らなかった、その難産もしくは便秘具合と、出されないままの過去の曲達が自分の足枷のになっていると感じながらも棄てられもしないという私のジレンマを代弁してくれているように思ったのです。あと、こういった「名付け」に関するエピソードには個人的に興味を惹かれるところもあって。

それにしても、どえらい重い名前を付けたもんやで!釈迦の子の名前て、あんた何様?とは思いますよ。でも、ピッタリきちゃったんだからしょうがない!音感も字面も申し分ないし。武田尋善さんに制作いただいたアートワークも、この上なく素敵だし。運命だったのよ。で、その中身である9曲の歌についても少々。

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まず①ナイショノハナシ。これは「どうかどうか内緒にしておいて」というリフレインがジャムセッション中に出てきて、そこから、そんなに内緒にしておいて欲しいことって例えば何だろう?と考えてでっちあげたものです。もとは男の子だった女の子の話ですが、テレビでタレントのはるな愛が涙ながらに語っていたエピソードを思い出して、参考にしたかもしれません。自分ではどうしようもないこと、後ろ暗い(と自分で思っている)こと、それを知ったらこの人は去っていくのだろうか?という恐れとやりきれなさをこの主人公に投影して、私は歌っております。

②モラル。「誰かの誰かを奪ってもかまわないんだ」と言ってますが、不倫(未遂)とかじゃないんですけど、そういう葛藤に苦しんだことが嘗てあったのですね(遠い目)。で、清廉潔白な私としては正しい判断をして目先のイイ感じを諦めたのですが、その慰みに口から出てきたと言えましょう。同時に、その頃は宗教トラウマというものについて詰めて考えていたこともあり、って考えても何も出てこなかったんですが、そういうわけで「モラル」というテーマでまとめたのでした。

③猫。これは20歳くらいの頃にピアノで書いたワルツです。楽曲としては良く出来ていると思うんですよ。その頃「ラーメンズ」のガチファンだったのですが、何かで彼らが猫を飼っているとか読んで、猫は猫なだけで可愛がられてええのお!とか思った、その発想から書いたと記憶しています。この曲に限ったことではないですが、もうその頃の思考が悲観的というか…いま歌うのは正直、恥ずかしいというか辛くもあります、でもね、楽曲としては良く出来ているんですよ…。

④流れる雲のマルシャ。「流れる雲の形を見届けるスピードで歩いたらあるいは思い出せるかもしれないのに」というフレーズとともに曲だけ先に出来ちゃった系です。マルシャのリズムで書いてみよー!ということで。後から歌詞だけ書く、というのは私にとってはなかなか困難で、もうそれっぽいセンチメンタルなかんじを連ねただけです!何も言いたいことありまへん!でもね、効果的なパーカション群とフルートのハーモニーのおかげで、ひなびた田舎町のカーニバルの感じが醸し出されててとっても映像的な小品に仕上がっておりますのよ!

⑤よるのひるね。こ2015年に書いた曲です。夜中のへんな時間に目が覚めて、ふらふらと大通りを散歩に出かける、そのひとりぼっちの自由さと、濃縮された寂しさについて。曲は、壊れたエアコンの修理を済ませて解放感に溢れた夏の日に、久しぶりにピアノに向かって出てきたものです。録音では、月明かりのような笙の音が優しくて救われる思いです。

⑥乾いた風のムビラ。これも③と同じ時期に書きました。アフリカはショナ族のムビラ(カリンバと呼ぶ地域もある)のCDがお気に入りで、そのフレーズをピアノでなぞりながら出てきたものです。若さゆえの焦燥について(遠い目)。

⑦狗。これも③と同じ時期に、③と対になる小品としてピアノで書きました。狗というのは、ゲーテの「ファウスト」に出てくる悪魔メフィストフェレスが扮する黒いムク犬のイメージです。これもまた手塚治虫の漫画で「ネオ・ファウスト」という未完の作品がありますが、高校の時の友人がこれを下敷きに演劇をやりたい!と言い出して読んでみたのですが、(その企画というか思いつきは当初の予想通り実現しなかったのですが)「ネオ・ファウスト」ではメフィストが女なんですね。女が誘惑して契約を迫る、というあたりのアイデアを拝借し、悲しい夜鷹の歌になりました。雌犬のことをビッチ(bitch)と言うのも面白いかなと思って。ちなみに戯曲の「ファウスト」の方は20ページくらいしか読めませんでした。

⑧ナダイ。これも割と最近、というか自分としては30代からが「大人」という感覚なので、大人になってから書いたものです。南インド古典音楽のリズムと、打楽器等を習得する際に憶える口三味線=コンナッコールを学ぶワークショップに参加した後、この「ナダイ」というリズム(コンナッコール)が頭から離れずギターに転用してみました。リズムからできた曲らしく、言葉は語感優先でなんとなく出てくるままに任せましたが、なんとなくでも自分の世界の見方とか死生観とかが現れるなあ、というか、表したいんだろうなあと思います。「レナータ、生れてくるな」とか言ってるんですが、(アルバムタイトルのラーフラに通じるところがありますが)まあ酷いこと言うなー!って思います。そんな酷いこと歌でくらいしか言えないでしょ?っていうわけで。アルバムを聴いた私の母に「あれは誰に対して言っているの?」と訊かれましたが、もちろん誰に対してというわけでもありませんのよー。

⑨コハクノヒトミ。24歳の頃、徳島県に合宿免許を取りにいったドライビングスクールの教官の瞳の色が薄い琥珀色だったことから始まっています。それは別に恋とか呼べるような強度のないささやかなひっかかりに過ぎないのだけど、拡大解釈するならば、自分が望む望まないに関わらず、外の世界を生きていれば思いがけず穏やかでない感情に邪魔されることがあるものだと。穏やかでない胸の内が苦しいから、麻痺させよう、あるいは、溺れてみよう、そういうアンビバレンス。

以上、なんとなくシンメトリーにならべた9曲となっております。アルバムのリリースに寄せて、モールシン奏者の竹原幸一さんに「極めて私的で密やかな、それなのにあからさまな九曲」(一部抜粋)とのコメントを頂いたのですが、自分でもその通りだと思います。もしちょっとでも気になったら、各種配信サービスでも聴けるので、音を聴いてみてください。いや、CD買って下さい!くしゃまんべで買えますから!!!




by agatha2222 | 2018-10-31 17:22 | Project RAHULA | Trackback | Comments(0)
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